トップページ | 自己複製ロボット »

2005年5月15日 (日)

書評(考える脳、考えるコンピューター)

 考える脳・考えるコンピューター ジェフ・ホーキンス(科学者)、サンドラ・ブレイクスリー(科学記者)著 伊藤 文英訳 ランダムハウス講談社 1995円

 評者:天外 伺朗(作家) 朝日新聞社5月15日読書欄

 著者は脳を工学的に実現したいと考え大学院を出たが、学問の閉鎖性に失望し、実業界に転じた。有名なパームパイロット(携帯情報端末)などで成功した富をつぎ込み、02年にはレッドウッド神経科学研究所を設立し、初志に戻った。行き詰まった人工知能の考え方を脱し、脳の働きを統合的に理解し、その機能を実現しようとしている。この新技術により、将来巨大な産業が展開するとし、今日のPC業界における、インテルやマイクロソフトに相当する企業が、10年以内に出現すると予言している。

 著者と私は、共通点が多すぎる。世界最初の手書き文字入力の「パームトップ・コンピューター」は、著者より6年前に私が商品化した。その後、犬のようなロボットAIBO、2足走行ロボットQRIOQを開発し、作り込みによる知能の限界を知った。そして、身体性に基づく新しい人工知能と脳科学を統合した学問「インテリジェンス・ダイナミクス(動的知能学)」を提唱し、その名を冠した研究所を昨年設立した。意図するところは、寸部たがわない。

 本書で著者は、大脳新皮質の機能について大胆な仮説を提示している。それらは必ずしも新しくはないが、実験的に確認されていることを、無理なく強化、拡張しており、一流の研究者の素質を感じさせる。従来は、知能を行動から定義して失敗してきとたが、記憶から見るのが正解という。そして、抽象度や全体/細部、時間変化の大きさなどで、いくつかに階層化された構造の中で、上昇していくセンサー情報と下降していく記憶からの予測がせめぎ合う、という認知の機構を提唱している。よくわかっている体験ほど下の層で両者が一致し、全く未知の体験は最上層を抜けて、海馬に達するという。まだ検証されていないが、・・・・・以下略。

将棋ソフト、ハンデイ付きながらプロを撃破 日本経済新聞社5月15日29面から抜粋

 39種類のソフトが参加した第15回世界コンピューター将棋選手権で優勝したソフト「激指」が角落ちで対戦した勝又 清和5段に勝利。しかし現在のところ、将棋ソフトは定量化しやすい中盤以降は力を発揮するが、点数で定量化しづらい序盤戦は苦手。

|

トップページ | 自己複製ロボット »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/103840/4138419

この記事へのトラックバック一覧です: 書評(考える脳、考えるコンピューター):

トップページ | 自己複製ロボット »